建築探訪
2024年10月27日
2024年10月27日
先日、千葉に教会を見に行きました。
インマヌエル船橋教会。設計は室伏次郎さん
竣工は2017年と割と新しい建築です。外のコンクリート面がとてもきれいでした。おそらく見えないところで汚垂れ処理の設計がなされているんだと思います。教会内部はほとんどが土足で動けるにもかかわらず手入れが行き届いていて全体的にとてもきれいな印象です。住居併用しているとはいえ広い建物をどうやって掃除されているんだろう、とこれを書きながら改めて思いました。
中はとても静かな空間でした。
コンクリートは質量・重さとその表情から意図的に強さや威厳みたいなものを感じさせることができます。特に打放しコンクリートとして表面を荒々しく仕上げた場合にはより強調されると思っていましたが、実際そうなっていなかったのには驚きました。要所要所で不規則な配列の窓があったり、角の面を太くとってあったりと、見えるもの、手が触れるもの、にひと工夫されているからかもしれません。
特に礼拝堂は、直線でつくられた空間であるにもかかわらず柔らかさみたいなものを感じました。
個人的な感想ですが、理由のひとつはアシンメトリー(非対称)だろうと思います。これがシンメトリー(左右対称)な空間だとかなり強い印象を受けると思いますが、そうはなっていない。 正面がなくなり十字の光も左右違って見えます。視覚を操作することで意図的に不完全な空間とした感じすら受けます。さらに、アシンメトリーとしたことでうまれた右面の物理的な奥行きが、実際に立つと寸法以上に感じるところも空間を柔らかく感じさせる理由のひとつだろうと思います。そして光。牧師さんも仰っていましたが、直接的な光ではないことが室伏建築では珍しいですねとのことでした。実際十字の光は間接光であるし上から注ぐ光は北側採光のため淡い光、おそらく強すぎない光を模索されたんだと思います。もしお会い出来たら部分的に閉じている水平の光・実際の意図など、直接お話伺いたいなぁと思いながら眺めていました。なんとなく想像していきましたが想像以上でした。
写真は、幸い外が暗かったこともあり実際見えた光に近いです。
案内は牧師さんがしてくださいました。コロナ禍の影響からまだ信徒さんが完全に戻っていないとのことで、だからこそ案内いただけたのかもしれません。牧師さんは、こちらが申し出る前に照明を消してくださったり、工事中の余談、また私が阿部さんが好きだと伝えたこともあって竣工時には阿部さんと室伏さんがお二人でみえたときのお話を聞かせてくださいました。牧師さんご自身がこの建物のファンなんだろうなと感じました。事前にご連絡差し上げたとはいえ見ず知らずの人間に親切に対応してくださりお忙しいところ本当にありがとうございました。本当感謝です。
お礼を言い外に出ると雨が降っていて、アプローチの庇の有難さを確認。改めて見上げると大勢の人が傘を差しながら出入りするから道路境界まで長いのかと。理由はそれだけではないんでしょうけど妙に納得しました。気づかせてくれた雨にも感謝です。
建築って実際に行って見て触れることが大事なんだと改めて実感しました。方向性がありながらも正面がない空間は体験したことがなく、感覚的に建築を堪能できたという意味でもものすごくいい経験になりました。
インマヌエル船橋教会、行ってよかったです。
撮影:F10-24mm 1/250orA F4 ISO200